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Allgood Story 永井 拓三
アンバサダー(Allgood Collective) やローカルリーダーをお招きし、
「環境責任、クリエイティブ表現、個人の健康とウェルネス」を応援する
トークイベント Allgood Storyを開いています。
今回は、雪に魅せられ、雪に生きている永井拓三さんをゲストにお呼びしました。
南魚沼市の市議会議員をしながら、気候災害が起きると、議員だけど率先して自治体に指示を出しながら災害援助を行っています。
永井さんの雪でいっぱいの人生にはどんなAllgood Storyがあるのでしょうか?
気候変動に繋がることが見えてきますよ。

3つの役職
よく「新潟の人ですか?」って聞かれるんですけど、実は板橋区出身です。東京出身のスノーボーダーで、地方創生に関わっています。
① 南魚沼市の市議会議員を3期やっているんですが、それとは別に内閣府で政策調整官という特別職を与えられて、災害関係の事案の対処を指導しています。
震度5以上の地震があった時や、大きな火山が噴火した時、雪害など、困っている人がいる時にこの肩書きで動きます。
実は地元の方にとって、雪は邪魔なもの。新潟の雪は札幌のと比べてめちゃめちゃ重いんですよ。
屋根から落ちてくる雪で怪我をしたり、屋根から落ちて亡くなる人もいるので、雪害対策を行なったり、
「雪を使って教育しましょう!」と政治家として言い続けていています。
② スノーボーダー・山岳ガイドとしては、ひたすら自分の滑りたい斜面を探しまくる。家族の話は上の空で、食卓で地図を眺めながら(笑)
③ 雪氷研究者としては、雪ってなんなのかという心理の追求。雪のことをずっと研究していて気づいたら博士。とにかく雪が大好きでそれに魅せられて生きている話です。
この3つ束ねて私なので、なんとなく私の人生がわかってもらえるかなと思います。

雪はなぜ白い? 結晶はなぜ6角形?
毎年南魚沼市から400人くらい東京に人口が移っています。どんどん人口が減っているんです。
人口が減っても仕方ないけれど、新潟出身の子が東京に出てきた時に「雪ってなんで白いの?」と聞かれた時に答えられないのは良くないと思うんです。
その雪の色を説明しようとして、店内の透明のプラスチックを探そうとしたんですけど無くて苦労しました(笑)さすがですね。
そこでプラスチックの袋を持ってきました。これも透明だけれも、重ねると白くなるよね? それは雪も一緒。
雪の結晶は絶対透明。だけれど白く見えるのは、光が乱反射しているだけの話。
そして雪って本当に不思議で、なぜか6角形。
たまにブランドさんで間違って8角形で雪の結晶を描いているところがあるんですよ。
それ程良く間違われているけれど、実は原理は簡単。水の水素結合(H2O)を細かく見ていくと、6角形にしかならない。
インパクトのあることを一人でも多くの子供が覚えていてくれたら、うちの市の人口が仮に減ったとしても悪いことはないなと信じています。
それが僕の与えられているミッションです。

三つ子の魂、百まで
この写真は、すごく覚えています。結構雪が降った日に板橋の実家で、親父がカマクラを作ってくれました。
ちなみに、東京の過去最低気温は大体いつで、何度くらいか分かりますか?
答えは虎ノ門で、-9.2度。しかも、146年前。これは明治政府が刀をやめなさいと、廃刀令を公布した年です。
それくらい昔のことですが、この温度を下回ることはない。
明らかに、気候は変動していて、変わりつつある。
この現実を受け止めながら我々も行動しないといけないなと思います。

スノーボードづくりもAllgoodに
最近、好きなスノーボードを自分の手で作り始めました。
スキー・スノーボードは、地元の材で、地元の人に楽しんでもらいたいと思っています。
今までは海外の誰が作ったか分からないボードだったけれど、今後はより自然に近い形で提供できるのはと思います。
まだ良い素材を探す必要がありますが、ゴムは天然ゴムで、
プラスチックパーツは米やとうもろこしのバイオ由来のもので作れないか、考えています。
さらに、木を倒すところから自分達でやることが目標です。
作りたいものを作って、幸福度を高めるのが大事。
自分がAllgoodでいることによって他の人に与えれる影響があると思いますね。
もしAllbirdsと出会ってなかったら、今でも外国で作られた、誰が作ったか分からないものを使っていたかもしれない。
色んな意味でAllbirdsとは良い出会いだったなあと思います。

1980年代から雪の降り方に変化が
雪の降り方に変化があったのは1980年代。
あるJR東海のCMと山下達郎さんの歌が教えてくれています。
彼の歌詞の中でこうあります。
『雨は夜更け過ぎに、雪へと変わるだろう。』
今までは雪から雨が降っていたので、この歌は気候変動が感じ取れるすごく有名な歌詞なんです。
最近は雨から雪が降るようになり、実際に昨日も雪から雨に変わりました。
今までは西高東低の配置で、低気圧は大陸性のもので中国から来ていました。しかし最近は南岸低気圧。
太平洋から来るようになり、台風のような雪を降らせる低気圧になりました。
雨から雪に変わる降り方は、現在は6割、1980年代は6%、1970年代はほぼなかったと言われています。
1980年代が雪の降り方の変化の年だったことがよくわかりますね。
自分達が何を使っていくのかを考えていかないと、赤道の方達が大きく影響されます。

今の夢
最後に、自分の夢を語って終わりにしたいと思います。
1970年代に「雪崩の巣」と言われたこの谷川岳を、昔からずっと滑りたいと思っていました。
雪がめちゃくちゃ降るから雪崩の巣。しかしこの雪崩の巣は最近、雪があまり降らないから滑れそう。
気候変動で雪は溶けていると思ってたが、でもまだ雪が凍っていて! まだまだ耐えてくれているんだなって嬉しかった。
その相反する気持ちで整理がつかずに、毎日ここをどうやって滑ろうかなって、そんなことばかり考えています。
自分としては、好きなことしかやっていないけれど、アウトプットできるのが自分のよさ。
堂々と胸を張って生きていこうかなと思います。
いかに次の世代に何を残せるかが勝負。
子供の教育っていう部分で何かしらできないか、考えています。

永井拓三について
幼少期に両親に連れて行ってもらったスキー旅行で雪に惚れ込み、2008年に南魚沼市に完全移住。
フリーライディングスノーボーダー/山岳ガイドとして数々の映像番組に出演。スノーボード/アウトドア専門誌に多くの執筆がある。新潟大学大学院博士課程を修了(理学/災害科学)し災害に関するコンサルタントなどを行う。
現在、南魚沼市議会 議員 / 新潟環境防災研究所 代表理事 / 新潟大学非常勤講師を務める。根っからのスノーボーダー。