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Allgood Story 鎌田安里紗
Allbirdsではアンバサダー(Allgood Collective) やローカルリーダーとお招きし、
「環境責任、クリエイティブ表現、個人の健康とウェルネス」を応援する
トークイベント Allgood Storyを開いています。
今回は、Allbirdsと「多様性があって健康的なファッション産業をともにつくる」事を成し遂げたいと掲げているunisteps共同代表・服のたね主宰の鎌田安里紗さん。
安里紗さんのAllgood Storyを紐解いてみましょう。

お洋服の楽しみ方はコーディネートだけじゃない
高校生の時、渋谷109のショップ店員のアルバイトを始めてファッションの世界に足を入れました。
当時、生産背景や作るプロセスのことは全然知らなかったんですが、コーヒーやチョコレートなど食品に関するフェアトレードの取り組みを耳にすることが増えていたので、「ファッションの生産背景はどうなんだろう?」と思い調べていると、色々な課題があることを知ったんです。
「ファッション フェアトレード」と検索して見つけた、いくつかの勉強会に足を運んでいた中でご縁をいただき、フェアトレードのパイオニアである People Treeさんのバングラデッシュにある工房に連れていってもらいました。
そうすると、とにかく面白くて。火を起こし、お湯を沸かし、糸を染めて、干して、機織り機で生地を織り、木を削って版をつくりプリントをして、手で刺繍をほどこす。「人の手ってすごい!」と感動してワクワクしたんです。
それまで「ファッションを楽しむ」というのは、コーディネートを楽しむことだと思っていたけれど、作られる過程を知った上で服を身につけるという楽しみ方もあったのか、と新鮮でした。
そこで、その過程の面白さと、一方で課題が多くあることもあわせて知ってもらいたい、と思ってエシカルファッション、サステナブルファッションの情報発信をするようになりました。

洋服はどうやって作られているの?
例えば、コットンのTシャツがつくられる過程について考えてみます。最初は植物なので栽培から始まります。
なかなかファッションと農業って結びついて語られることがないんですが、Allbirdsで多く使われているウールも牧場で育てられた羊から毛を頂いて作られるものですし、アパレル産業は土とダイレクトにつながっている産業です。
コットンは日本では5月に種まきをしたら、12月くらいに収穫できます。綿を収穫して、糸にして、生地にして、染めて、切って、縫って、ようやく服が出来ます。
普段買い物をする際には、店頭に並ぶ完成したお洋服しか見ることができませんが、どの服にも背景には長い生産プロセスがあります。その工程の多さと、ほとんどの場合いくつもの国をまたいで生産されることが、ファッション産業のサプライチェーンを複雑にしています。
参照:unisteps®️

種から服を育てる『服のたね』
不透明なサプライチェーンを持っているファッション産業は、大量廃棄・動物虐待・生態系への悪影響などたくさんの問題を抱えています。
それに対してオーガニック素材を使用する、廃棄物を再活用する、フェアトレードに取り組むなど、ファッション産業の課題を改善しようとする働きかけの総称がサステナブルファッションです。
そうした課題や改善に向けた取り組みについて、話を聞くだけではどうしても通り過ぎてしまう、自分ごとになりにくいと思います。そこで、「服のたね」という企画を5年前に始めました。
これは、参加者にコットンの種を配布し、種を育ててもらい、綿を回収し、みんなで洋服を作る企画です。
実際にものづくりのプロセスを原料から体感することで、ファッション産業が抱えるネガティブな側面も、ポジティブな側面も、自分が体験したことと重ねて感じ、考えてもらえるのではないかと考えました。
ちなみに、気候変動が原因なのか分からないんですが、毎年育てていると違いが見えたりして、最近は綿が取れるのがどんどん遅れているんです。
「服って植物だったんですね」と参加者の人が感想を聞かせてくれたことがあります。その方ももちろん、コットンが植物だということは頭では分かっていたと思いますが、育てることでそのことがよりリアルに、現実のこととして感じられたのだと思います。
私自身もこれからも、実感を持って語れることが増えるよう、できるだけ多くのことを体感していきたいと思います。

Allgood Collective
鎌田安里紗
(エシカルファッションプランナー・モデル)
「多様性のある健康的なファッション産業に」をビジョンに掲げる一般社団法人unistepsの共同代表をつとめ、衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響に目を向けることを促す企画を幅広く展開。
種から綿を育てて服をつくる「服のたね」、衣服を取り巻くモヤモヤについてともに学び考えるプラットフォーム「Honest Closet」など。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程在籍。